写真:琉球大学ホームページより転載
玄米には、日本人に不足しがちな食物繊維、ビタミンB群、マグネシウムが白米よりも豊富に含まれており、かつては「天然の完全食」と呼ばれていました。 低GI食品でもある玄米は、健康イメージが強いものの、「消化しにくい」「玄米独特の味が苦手」などマイナスなイメージを持つ方もいらっしゃいます。 しかし、近年の研究で、玄米特有の有効成分「γオリザノール」が私たちの身体に驚くべき効果を発揮することが明らかになっています。
私たちは脳からの指令によって行動しています。動物性高脂肪食(ファストフード等)への依存も、脳が関わっています。
琉球大学の益崎教授チームは、玄米にのみ含まれる天然成分の「γ-オリザノール」は、満腹中枢が存在する脳の視床下部に作用し、小胞体ストレスの亢進を抑制して高脂肪食への依存性を緩和するというメカニズムを世界で初めて解明しました。
メタボリックシンドロームと診断された沖縄県民男性13名に1日3食の玄米を食べてもらう臨床研究が行われました。その結果、白米ご飯を食べているときと比較すると、玄米ご飯を食べているときには食後の血糖値やインスリン値の上昇が抑えられました。玄米を食生活に取り入れることで糖尿病や糖尿病予備軍の状態を改善できる可能性を示す成績です。さらに、玄米を食べ始めてから2ヶ月後には体重が平均2.7kg減少し、ウエスト周囲径も1.5cm減少しました。また、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールの減少効果や高血圧の改善効果も観察されました。
Shimabukuro M, Higa M, Kozuka C, Masuzaki Het al. Effects of the brown rice diet on visceral obesity and endothelial function: the BRAVO study.Br J Nutr.111:310-20, 2014.
マウス実験や玄米による先行介入臨床試験の結果を踏まえ、40人を対象に、玄米甘酒(玄米オリザーノ)と対象飲料(白米の甘酒)をそれぞれ4週間ずつ1日1パック摂取する「クロスオーバー介入臨床試験」を行いました。その結果、玄米オリザーノは、間食回数とファストフード嗜好性の低下に効果があることが分かりました。また、被験者からは、便秘や肌荒れの改善、食べすぎることがなくなった等の感想も得られました。
摂取前からの変化量を Willcoxon の符号付順位検定,平均値±標準偏差 有意水準 両側検定 5% (n = 40) 実施場所:沖縄県健康づくり財団(琉球大学医学部第二内科関連施設)
さらに、玄米オリザーノは腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランス改善にも役立つことがわかりました。緑色のグラフは4週間白米の甘酒を飲んだ方5人、ピンク色のグラフは4週間玄米甘酒(玄米オリザーノ)を飲んだ方5人の善玉菌の割合の変化を表したものです。白米の甘酒のグループは善玉菌の増減にばらつきがあるのに対して、玄米甘酒(玄米オリザーノ)のグループは全員の善玉菌の割合が増加しているのが分かります。 これは、玄米オリザーノが善玉菌のエサになり増殖しているためです。
また、腸内細菌による発酵で生成された短鎖脂肪酸(酢酸)が脳に働きかけて食欲を低下させ、肥満抑制につながることも解明されました。
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https://www.med.u-ryukyu.ac.jp/topics/3662.html